2024年の能登半島地震から、能登の「住まい」は大きく姿を変えました。
古い家は多くが壊れ、空き地が増えましたが、その一方で「ここから、どんな暮らしをつくり直すか」を考える人たちも少しずつ動き始めています。
この記事では、能登への移住を考えている人や、関係人口として関わりたい人に向けて、現在の住宅事情と、リブート珠洲から見えている「これからの住まいのかたち」をお伝えします。
1. 震災後の能登では、何が起きたのか
能登半島地震・豪雨で、多くの住宅が全壊・半壊し、奥能登では集落単位で大きな被害を受けました。
公費解体が進む中で、かつて大きな家が並んでいた場所が、更地や空き地になっている光景も珍しくありません。
一方で、水道や道路などのインフラは少しずつ復旧し、避難所から仮設住宅へ、仮設住宅から次の住まいへと移る人も出始めています。
しかし「元の場所で家を建て直すのか」「別の地域に移るのか」「公営住宅を選ぶのか」ーー多くの人がまだ迷い、立ち止まっているのが現状です。
2. 今の能登には、どんな住まいの選択肢があるか
被災した地元の方にとっても、移住・二拠点を考える方にとっても、「住まい」の選択肢はいくつかあります。
- 自宅再建(自分の土地に新しく建てる・直す)
- 復興公営住宅(災害公営住宅)に入居する
- 民間賃貸住宅を借りる(みなし仮設からの移行を含む)
- 木造仮設住宅を活用した市営・町営の賃貸住宅に住む(穴水・珠洲など)
- 中長期ボランティア・事業目的の人向けに、空き仮設住宅を「賃貸」として利用する
リブート珠洲ではすでに、「仮設住宅から次の住まいへ」というテーマで、珠洲市内の選択肢や条件を整理した記事も公開しています。
そこでは、自宅再建・災害公営住宅・ムービングハウスなど、現場目線の選択肢と課題を紹介しています。
3. 「土地は安い、でも家を建てるのは高い」という現実
移住の目線で能登を見ると、多くの人が驚くのは「土地や中古住宅は安いのに、新しく家を建てる費用は都市部並み、もしくはそれ以上にかかる」という点です。
- 震災前は、能登では坪70~80万円程度で建てられていた家が、現在は150万円を超える見積もりも珍しくないと報じられています。
- 資材価格の高騰、人手不足、被災地ゆえの工事集中などが重なり、「家を一から建てるハードル」は全国平均より高いと感じる人が多い状況です。
結果として、
- 「大きな家を持つ」ことから、「小さくても維持しやすい家」「移動できる小屋やムービングハウス」へ
- 「家は一生に一度の大きな買い物」から、「住まい方を変えながら、段階的に暮らしをつくる」
という発想の転換が、現実的な選択肢として浮かび上がっています。
4. 仮設住宅・公営住宅は、移住や関係人口の「入口」に
仮設住宅というと、「被災者だけのもの」というイメージがあるかもしれません。
しかし珠洲市では、地元住民が退去して空き家になった仮設住宅を、中長期ボランティアや就職・事業目的で珠洲に滞在する人向けに、賃貸として活用する方針が示されています。

- 家賃は月1.5万~2.9万円程度が見込まれており、短期移住や「お試し二拠点」の住まいとしても現実的な価格帯です。
- 木造仮設住宅を、将来は市営住宅として転用するケースもあり、「仮設」から始まる新しい定住の形も模索されています。
つまり、「いきなり家を買う・建てる」のではなく、
- まずは仮設住宅や賃貸で1年住んでみる
- その間に地域や仕事、将来の暮らし方をじっくり考える
というステップを踏むことが、能登ではむしろ自然な選択になりつつあります。
5. 珠洲で見えてきた、新しい住まい方
リブート珠洲がツアーやインタビューで接してきた方々の中には、「大きな家は直さない」という決断をした住民もいます。
- かつて400㎡クラスの大きな家に暮らしていた方が、「孫が遊びに来たときにテントを張れる場所にしたい」と語り、家そのものよりも「ここでどう過ごすか」を中心に考え直している例があります。
- 見附島を望む海辺の土地では、「大きな家を維持する負担」よりも、「小さな拠点で、外の空間を生かす暮らし」へと、発想を切り替える動きも出ています。
こうした選択は、「縮小」ではなく、「身の丈に合った豊かさ」へのシフトでもあります。
能登の自然や、近所との関係、季節の仕事ーー大きな家がなくても、豊かな暮らしの要素はたくさん残っています。
6. 移住・関係人口の方へのメッセージ
能登の住宅事情は、決して「楽な環境」ではありません。
インフラは完全には戻っておらず、便利さだけを求めると、他の地域の方が向いているかもしれません。
それでも、能登にはこんな特徴があります。
- 空き地や空き家が増え、「これからの集落のかたち」を一緒に考えられる余白がある。
- 仮設住宅・公営住宅・賃貸など、「まずは一歩踏み込んで暮らしてみる」ための器が少しずつ整いつつある。
- 観光と復興をつなぐツアーやプロジェクトを通じて、地元の人と外から来る人が、一緒にまちの未来を考える場が生まれ始めている。
もしあなたが、
- 「いきなり移住」ではなく、「まずは数日、次に数週間、ゆくゆくは数年」という階段を上がりたい
- 「家」そのものだけでなく、「暮らし方」から一緒に考えたい
と感じているなら、能登、とくに珠洲は相性が良いかもしれませんネ。