防災研修プログラム

実践BCPとは?能登半島地震の実例で学ぶ中小企業BCP読本

防災研修プログラムで配布する資料が教える、「避難所をつくる」視点と身の丈のBCP

リブート珠洲の防災研修プログラムでは、参加してくださった皆さまに、当日の限られた時間では話しきれない内容をまとめた資料をお渡ししています。今回は、その中から『事業継続計画(BCP)読本』を少しだけ中身を開いてご紹介します。

これから防災研修やBCP研修を探している自治会・企業・組合・大学の担当者の方にとって、「参加するとこんな資料がもらえるのか」というイメージづくりの参考になれば幸いです。

なぜ「実践BCP」にこだわったのか

世の中にはBCPのひな形やチェックリストはたくさんあります。しかし、令和6年能登半島地震で実際に珠洲市をはじめ奥能登地域の中小企業がどう動いたのか、という「生の実例」に触れられる資料はあまり多くありません。

この読本は、経済産業省中部経済産業局が公表した「企業の復旧事例集~令和6年能登半島地震の実例から学ぶ~」など、実際に被災した石川県内企業の記録をベースに、リブート珠洲の防災研修プログラムのために編集・再構成したものです。

震度7の激しい揺れを経験しながらも早期に事業を再開できた企業がある一方、震災から半年以上経っても再開率が震災前の6割程度にとどまっている、という珠洲市の厳しい現実もあわせて紹介しています。理想論ではなく「実践BCP」として使える視点を大切にしました。

第1章 中小企業経営者と自治会長の役割の共通点と違い

経営者と地域リーダーは、どちらも「有事のリーダー」として安否確認・代替リーダーの準備・物資の備蓄・外部窓口の一本化といった責任を負う点で共通しています。一方で、経営者は「事業継続と早期の中核業務復旧」、自治会長は「避難生活の維持と生活再建」というように、目的とスピード感が異なります。珠洲市のように経営者自身が自治会役員や消防団を兼ねているケースも多いため、この二つの視点の違いを整理して理解しておくことは、BCP研修の出発点として欠かせません。

第2章 従業員とその家族をどう守るか

「設備は費用をかければ元に戻せるが、人の心はそうではない」――複数の被災企業への聞き取りから繰り返し語られたこの言葉を軸に、安否確認の仕組みづくりを3ステップ(事前準備・訓練の実施・振り返りと改善)で解説しています。石川サンケン、スギヨ、EIZOといった企業の実例に加え、従業員4名という小規模事業所の対応事例も収録し、規模を問わず応用できる内容にしています。

第3章 施設・設備をどう守るか

地震対策・水害対策・情報システム対策を、コストをかけられる企業とそうでない企業、それぞれの視点で整理しました。特に「身の丈に合った事前対策」という考え方は、大企業のような設備投資ができない小規模事業所にとって重要な視点です。「防災投資は災害が発生するまで効果が見えないが、歯を食いしばってでもやるべき」という被災企業の声もそのまま紹介しています。

第4章 中小企業経営者が受けられる支援

業継続力強化計画による税制優遇や低利融資、小規模企業共済の災害時貸付けなど、平時の備えと被災後の再建を支える公的制度を整理。数値は制度改定で変わるため、申請時の確認先も明記しています。

「避難所をつくる」視点も欠かせない

BCPというと「会社をどう守るか」という視点に偏りがちですが、珠洲市のような地域では、経営者自身が地域防災の担い手を兼ねていることが少なくありません。読本の第1章では、避難所運営委員会の組織化や、避難所の鍵の複数管理、仮設トイレの備蓄といった「避難所をつくる」側の視点も自治会長の役割として並べて整理しています。会社を守ることと、地域の避難所を機能させること――このふたつは切り離せないテーマだと考えています。

参加された方の属性に合わせて資料を調整しています

防災研修プログラム当日はセミナー時間を長く確保できないことが多いため、この読本のような資料をお渡しして、要点だけを当日解説する形をとっています。参加される方が自治会・企業・組合・大学など、どのような立場かによって関心を持つ章が変わるため、実際のプログラムでは配布資料の重点部分を調整しながらご紹介しています。

「うちの会社(自治会)にも当てはまる実例があるのか知りたい」という方は、ぜひ一度プログラムにご参加ください。事例をそのまま真似ることはできませんが、「人を最優先にする」「つながりを大切にする」「身の丈に合った備えをする」という考え方は、規模の大小を問わず応用できるはずです。

本資料は研修用参考資料であり、法的助言・financial adviceを目的とするものではありません。個別の制度活用にあたっては、各制度の所管機関や専門家にご相談ください。
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