災害への備え

仮設住宅から次の住まいへ:珠洲市で考える暮らし方

高齢化と過疎化が進む珠洲市で、被災者が安心して暮らせる住まいへの移行を考える

被災地のコミュニティスペースでパソコンを開き、コンパクトな戸建て住宅のWebページを眺めていると、いつの間にか周囲に人が集まってきます。「その家、どうなの?」と誰かが尋ねると、皆が画面を覗き込みます。

仮設住宅での暮らしも、もうすぐ1年が過ぎようとしています。高齢化が進み、過疎化が深刻な珠洲市に暮らす私たちにとって、今最も関心があるのは「次の住まい」です。これから私たちの住まいはどうなっていくのでしょうか?

応急仮設住宅での一時的な生活

災害発生後、避難所生活を経て被災者はまず応急仮設住宅(プレハブ型や木造型、ムービングハウスなど)に入居します。仮設住宅は原則として一時的な住まいであり、入居期間は基本的に2年以内とされていますが、状況に応じて延長されることもあります。

恒久的な住まいへの移行方法

仮設住宅から恒久的な住宅への移行方法として、主に以下の選択肢があります

自宅再建(自力再建)

自己資金や保険金、公的支援を活用して自分の土地に新築または修復を行います。自治体によっては補助金や融資制度を提供しています。高齢者の場合は負担額や年齢、健康面、収入などからハードルが高い選択になります。

災害公営住宅への入居

自力再建が困難な世帯(特に高齢者世帯など)向けに、公営住宅が整備されます。地域コミュニティの維持を考慮し、元の居住地近くに整備されることもあります。災害公営住宅の家賃は、入居者の収入や世帯構成、住宅の規模・立地条件などを基準に決定されます。

石川県珠洲市の場合、2DKタイプで月額1万3000円から3万1000円程度になる見通しです。入居後一定期間経過すると特別低減措置が終了し、段階的に家賃が引き上げられます。そのため、収入が低い世帯や高齢者世帯にとっては負担感が増し、生活再建が難しくなるケースが考えられます。

民間賃貸住宅への移転(みなし仮設)

公営住宅以外にも、民間賃貸住宅を借り上げて提供する「みなし仮設」から、その後恒久的な住まいとして民間賃貸住宅へ移行する方法もあります。

ムービングハウスや建設型仮設住宅などの恒久転用

移動可能な木造ユニット住宅(ムービングハウス)や建設型仮設住宅は、応急仮設住宅として使用した後、そのまま恒久的な住まいやコミュニティ施設として再利用可能です。基礎工事等を施すことで恒久的な住まいとして認められます。


通常、応急仮設住宅の供与期間は原則2年以内ですが、個々の事情により延長される場合があります。その間に被災者は自宅再建や公営住宅への入居準備を進めます。しかし、高齢化や経済的事情から、自力再建が難しい世帯も多く存在します。

珠洲市では、高齢化・過疎化が進む中で、「ふるさと回帰型」の戸建風木造応急仮設住宅を導入しています。これらは将来的に市町営住宅として転用されることが基本となっています。このモデルでは、地域コミュニティ維持と高齢者世帯の生活安定化を図りつつ、恒久的住まいへの円滑な移行が期待されています。

シニアシェアハウスと自給自足ハウス

仮設住宅に暮らす中で考えた私のもう一つの選択肢はシニアシェアハウスと自給自足ハウスです。シニアシェアハウス(高齢者向けシェアハウス)とは、複数の単身高齢者が一つの住宅を共有し、自立して生活できる高齢者が共同生活を送る住まいのことです。自給自足ハウスは自給自足を中心としたライフスタイルを指し、食料、エネルギー、住まいなどの必要資源を自ら生産・管理する生活形態です。次回は被災地における高齢者向けシニアシェアハウスについて考えてみましょう。

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