能登半島地震

チェーンソーで切り開いた命の道 ~孤立集落の区長が導いた24人全員避難の記録~

土砂崩れに阻まれた72時間 住民の結束とリーダーシップが生んだ“生きるための選択”

2024年1月1日に発生した能登半島地震は、津波などが来た沿岸部だけでなく、山間部である珠洲市宝立町にも甚大な被害をもたらしました。地震による大規模な土砂崩れで道路が寸断され、小屋地区(集落)は孤立状態に陥りました。
そんな中、区長の佐古田さんが執った冷静な判断とリーダーシップのもと住民たちを安全に避難させることができました。提供してもらった写真から当時の避難生活や脱出劇を振り返ります。

地震直後、小屋地区は土砂崩れで主要道路が完全に塞がれ、24名の住民が孤立しました。小屋地区以外も広範囲に地震被害を受けており、救助隊が到着するまでに時間がかかることが予想されました。果たして食料や水の不足、高齢者への支援の必要性など、状況は悪化していきました。

雨漏りする集会所での住民の避難生活

佐古田さんは、この未曾有の危機に直面しながらも、彼はまず住民を集め、被害状況や住民の健康状態を確認しました。また、自衛隊や消防との連絡手段を確保し、救援活動を円滑に進めるための情報提供を行いました。状況を共有し、全員が協力して行動します。

小屋ダムに着陸したヘリコプター、歩くのが困難な住民を救助する自衛隊・写真:航空総隊司令部

集落に救助隊が到着するまでに時間がかかることから、残された住民たちは自力で安全な場所へ移動するルートを検討し、互いに助け合いながら困難に立ち向かうことになりました。

チェーンソーで川を越える橋を作る佐古田さんチェーンソーで住民を渡す橋を作る佐古田さん
住民を避難させる佐古田さん住民を避難させる佐古田さん
集落から避難する住民
崩落した道路の脇を避難する住民
最大の難関の大きながけ崩れ、中央上になんとなく明るい部分が下にある道路です

数日後、自衛隊と消防による支援活動が開始されましたが、それまでに佐古田さん率いる住民たちは安全な場所への移動をほぼ完了していました。この迅速な対応によって、大きな二次災害や犠牲者を出すことなく全員が無事避難することができました。

現在、小屋地区では道路やインフラの復旧作業は応急措置がとられ、水道などインフラの復旧は中断したままです。佐古田さんを除く集落の住民全員が仮設住宅などへ避難。住民の高齢化も進んでおり、この集落に住民が戻ってくることは難しいと佐古田さんは考えています。

「どうなることやら・・・」とつぶやく佐古田さん

リブート珠洲 篠原和彦

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